パブリックシェアリング vs. プライベートシェアリング

ソーシャルメディア上で、自分の情報や発信したコンテンツの開示範囲をコントロールするというのは、以前からありました。とくにプロフィールは個人情報と直結することが多いため、誰がその情報にアクセスできるか、というプライバシー設定は重要視され、友達や、友達の友達まで、などきめ細かく設定することができます。

しかし、Google+が登場し、サークルという概念に触れたとき、なぜか私たちはちょっとした心地よさを感じたと思います。私たちの人間関係あるいはソーシャルグラフは、「友達」という単一レイヤーではなく、まさにさまざまな「面」の集合体なので、共有したいコンテンツ(文章や写真、動画など)もある程度の区分けが本来なら必要だったのでした。

自分のプライベートの部分を仕事つながりの方に見てもらうことは、もしかしたら今後のミーティングや商談でよい潤滑油になるかもしれませんが、投稿頻度やタイミングなど、躊躇することが増えていくことも、もう一方であります。

そんな閉塞感の中で、Google+のサークルという仕組みは、多次元のソーシャルグラフを分かりやすく管理し、コンテンツを流通できることをユーザに教えてくれた訳ですが、この閲覧者を限定した「プライベートシェアリング」というアクションが、誰でも閲覧できるコンテンツ公開「パブリックシェアリング」よりも3倍のスピードで進行している、とPosterousのCEOがインタビューで答えていました。

Posterous announces Spaces
http://www.youtube.com/watch?v=_4DbuoWK32I


このインタビューは、Posterousの新機能「Posterous Spaces」についての取材なのですが、このPosterous Spacesもフォロー/フォロワーの関係を「Space(スペース)」というグルーピングで実現させています。

ところで、FacebookとGoogle(またはGoogle+)、この2者は「情報の消費」の考え方でもいい対比になっていると言えます。

  • Facebook: ソーシャルグラフに基づいた、自分の友人たちからの情報をフィードという形で消費していく。
  • Google(+): ユーザが自らの意志でキーワードやサークルをチョイスし、ある程度能動的に情報を見つけにいく。

この2つの対比は、パブリックシェアリングとプライベートシェアリングの構造とも似ているように思いませんか?Facebookはソーシャルグラフというある程度閉じた空間とはいえ、「下手な鉄砲、当たるまで打ち続ける」ことであたかも情報検索が実現しているように思えるところが、パブリックシェアリングと通じるところがあるように感じます。一方、プライベートシェアリングは、情報提供者側が意志を持ってその情報を特定のグループに伝達しようとするところが、Google+の思想とぴったり当てはまるのだと思います。

そういう意味では、私が考えるマーケティングとしてのクチコミのメカニズム(情報を必要としている人に伝達する技術)とプライベートシェアリング、そしてGoogle+の設計思想がしっくりきます。

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